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コラム

「実質不妊期間」が長い人は要注意!~実質不妊期間って何?~

皆さんこんにちは。前回に続き、生殖医療専門医の佐藤琢磨医師によるコラムになります。

前回のコラムでは、加齢による卵子の「質」の低下と、卵子の「数」の減少に着目し、妊活を早く始める必要性についてお伝えしました。
今回は、「早く妊活を始めていたとしてもなかなか妊娠しない場合は注意が必要である」というポイントについてのご紹介になります。

妊娠と不妊症

不妊症とは「一年間の避妊していない性交渉により妊娠が成立しないカップル」と定義されます。妊娠をトライしているのに、妊娠しない期間のことを「実質不妊期間」と言います。

「実質不妊期間」が一年未満の方は不妊症ではないということになりますが、不妊症と診断されていないカップルが、妊娠できる時期に避妊していない性交渉をしていて、妊娠する確率は、排卵1回あたり15-20%程度と言われています。つまり、不妊症とは、12回連続で妊娠しない確率となり、(0.85)12 ≒10%程度となります。

下図は、妊活している期間と累積妊娠率を示したグラフになります。

このグラフは、避妊せず性交渉をもった期間に妊娠した人はどのくらいいるのか?という目安がわかります。加齢により妊娠率は下がってくるのですが、グラフ青丸のデータを見ると、平均2-3ヶ月で約50%の人が妊娠しています。また、赤丸の部分からは、12ヶ月の時点で90%程度の方が妊娠することが分かります。
実質不妊期間が1年未満の不妊症ではない人であれば、「妊娠は自然に待っていればできるもの」と考えるのは、ある意味適切なのかもしれません。
しかし、実質不妊期間が1年を超えてくると状況は変わってきます。グラフ赤丸部分を見て明らかなように、12ヶ月経過して妊娠しなかった実績がある人は、その後自然に性交渉をとっていてもなかなか妊娠する人が増えてこないということが分かります。
このように、12ヶ月以降の妊娠率は増えないという結果からも、実質不妊期間で、12か月を不妊症と診断する妥当性がご理解いただけるかと思います。

実質不妊期間が長い場合には注意が必要

「実質不妊期間が長ければ長いほど、その後自然に妊娠する可能性が低い」ということができます。不妊症の人は、卵子の通り道である卵管が詰まっていないかを調べる卵管造影検査や、男性の精液検査などの不妊症スクリーニング検査を受け、妊娠しにくい理由を調べるための検査をしていく必要があるため、早期に不妊治療専門のクリニックや病院を受診することが大切になります。

不妊症と診断されたら絶対に自然妊娠できないという訳ではありませんが、毎月の性交渉で妊娠する確率は1-4%/回程度と言われています。これはタイミング療法(※)1による妊娠率を参考にしています。1回あたりの妊娠率は低いのですが、半年間のタイミング療法による累積妊娠率(半年間に少なくとも一回妊娠する確率)は20%程度と言われており、ある程度の期間を考慮すると一定の割合で妊娠できる方はいらっしゃいます。

しかしながら、卵子の通り道である卵管が閉塞していたり、男性側に精子が全くいないことでこれまで妊娠していないなどの場合は、自然経過により妊娠することはないため、早めに検査をすることが大切です。

まとめ

ここまでご紹介したコラムから、以下のことがおわかりいただけましたでしょうか?

・加齢による妊娠への影響は思っていたよりも大きい
・「キャリアを優先して、妊娠・出産を先延ばしにすること」や「妊娠は自然に待っていればできるものと楽観的に考え、長い年月を自然にみてしまうこと」は、「子供を欲しいと思っていた」のに、「思い描いていた人生を実現できなくなってしまった」というリスクが上がる

そうは言っても、「知識があっても実際に行動を起こすことが難しい」というのが誰もが感じることだと思います。
次回のコラムでは、どのように行動を変えていけばよいのか、についてお話ししていきます。

 

  1. タイミング療法:女性が月経10-12日目に病院を受診し、超音波で卵巣の卵胞の成長の状態を確認することで排卵日を予測します。その妊娠しやすい排卵2日前~排卵当日に自分たちで性交を行う方法で、一番安価で通院回数や身体の負担も少なく、自分たちで取り組みやすい方法となります。
    1978年世界初の体外受精児がイギリスで生まれ、日本では 1983年に仙台市の東北大学医学部付属病院にて初の体外受精児が生まれました。

佐藤琢磨 氏

東京慈恵会医科大学 卒業
日本赤十字社医療センター 初期研修修了
東京慈恵会医科大学産婦人科学講座 入局
大学附属病院や不妊治療専門クリニックで不妊治療外来を担当。
産婦人科専門医
生殖医療専門医